今月の地平線報告会 |
1979年9月の第1回から数えて、今回が通算560回目の地平線報告会となります(コロナ禍での欠番を含む。欠番をカウントしないと525回目となります)。
今月の報告者は、シリア難民をテーマに取材を続け、11月26日刊行の『シリアの家族』で第23回開高健ノンフィクション賞を受賞された写真家の小松由佳さんです。
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叙里亜(シリア)の故郷
「写真家としての作品にしたかったんです」というのはドキュメンタリー写真家の小松由佳さん(43)。遊牧民の家系に育ったシリア人、ラドワン氏と'13年に結婚。激化するシリア内戦から、昨年の政権崩壊に至る激動の十数年に翻弄される“家族”の姿を冷静に描いた著書『シリアの家族』が、今年11月第23回開高健ノンフィクション賞を受賞しました。 軍を脱走した亡命難民で祖国に戻れない夫ラドワンに代わり、秘密警察に睨まれつつ故郷の村を取材。その緊迫感に満ちた描写がある一方、夫の第二夫人問題が勃発し、頭では文化の違いと理解しながらも感情とのギャップに悩む葛藤も包み隠さずに描きます。 作品中に登場する大勢の家族や同朋に寄りすぎず、離れすぎない中立的な目線を意識。国境開放後の取材に同行した息子の視点もこの距離感を保つ一助になりました。 「わたし書くのが遅いので、生活費を稼ぐ時間が削られるのが辛かったです」と由佳さん。難民の心の支えであった故郷への帰還が叶う今後、シリアはどう変わっていくのでしょうか。取材、執筆を通して自らの故郷、秋田への思いも新たになった由佳さんに、本を上梓するまでの顛末を語って頂きます。 |
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地平線報告会は、どなたでも参加していただけるオープンな場です。テレビをはじめとする二次的な情報では決して味わえな い、世界を旅してきた報告者の「生の声」を直接聞くために、1979年9月から、コロナ禍での中止期間を除き、毎月欠かさず開催されています。どうぞ気軽に参加してみてください。
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