2025年8月の地平線報告会レポート


●地平線通信557より
先月の報告会から

パレスチナの日常

小田切拓

2025年8月30日 榎木町地域センター

今月は報告会レポート延期します
今月の「報告会レポート」ですが、事情あって来月以降に延期します。内容が非常に微妙で十分ではないレポートのまま掲載するわけにはいかない、という判断ですのでどうかご了解ください。[E]

イスラエルにとって“打ち出の小づち”になったガザだが……

■このごろ、日々の暮らしのなかで、ひんぱんにガザのことが頭に浮かぶようになっている。食事をすれば「こんなの食べられないだろうな」と思ったり、シャワーやトイレでも「水さえ自由に使えないんだよな」と。自分が傍観者であるだけでなく、加害者の側に組み込まれているのではと思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

◆小田切さんに、ガザはイスラエルにとって“打ち出の小づち”になっていると聞いて、パレスチナ支援のNGOに寄付している友人にそれを話してみた。支援さえも占領と破壊を下支えする構造の一部になってしまうと。破壊すると国際社会から援助が入って復興、また破壊してと繰り返しながらイスラエルはむしろ得していると。友人は「じゃあ、どうしたらいいんだろうね」と困った顔でつぶやいた。まさにそれ、私も困っている。答えが出ない。でも考えるのをやめたら終わりだ。この不条理な現実を問い続けること。それは私たちが今できる抵抗なのだから。[高世仁(今回の報告会にて小田切さんと対談)]


報告者のひとこと

「嫌ーな話」にしようとした

■8月30日の報告会では、参加者に噛みついてくれるように依頼し、こちらも敢えて辛辣な表現を交えながら返答した。なぜそんなやり方をしたのか。その理由は、パレスチナ問題をいくらか知っている人ほど、通説以外を受け入れようとしないからだ。特に問題なのは「イスラエル人にも良い人がいて、彼らを支えることこそが、平和への第一歩になる」という考え方だ。

◆シオニズムとは、「パレスチナ」の地のすべてを領有し、その人口のすべてをユダヤ教徒にすることを目標とする考え方だ。シオニスト左派の語る「平和」も、その延長線上にある。「パレスチナ」の殆どを領有し、パレスチナ人は最小面積の中か、海外に放逐するのが彼らの方針だ。

◆考えてもみて欲しい。ホロコーストによる彼らの犠牲に対する責任がパレスチナ人にはないことは容易に理解できるはずだ。今回でいえば、10.7以降、イスラエル領内に入って軍事力を行使したガザ地区住民が皆無といえること、ガザには戦車も戦闘機もないこと。日本を含む国際社会こそが、ガザ地区を大きな収容所にしていることも。

◆人類史の汚点とさえいえそうな現状だからこそ、重要なのは「解決とは何か」を考えることだ。事態の構造を理解し、正確な数字を把握する。関係する国、機関が何をしているのか、本来何をすべきなのかを整理する。そして処方箋を作り、それに基づき行動するしかない。

◆闇雲に「イスラエルを批判」し「ガザ地区住民のために寄付」しても、平和にはならない。往々にして、事実は通説とは異なるものだ。意図的に作り上げられるものでもある。パレスチナ問題については、まずは通説を忘れて欲しい。

◆そこでフリーランスにできることといえば、事実をこれでもかと積み上げること。心の中に杭を打ち込むことくらいしかない。だから今回も、「嫌ーな話」にしようとした。

◆時代が、大きく変わろうとしている。パレスチナは、その最先端事例ではないか。9月9日に、イスラエルがカタールを空爆した。その前日にエルサレムでパレスチナ人が、ユダヤ教徒を銃撃した。個人的には、後者の方を注視している。この続きは、また、「嫌な話」をする会で。[小田切拓


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