■新井 由己 ARAI Yoshimi 1

●下北半島の味噌玉(1995年4月1日)
 青森県下北郡大畑町小目名の集落で、味噌玉作りを見せてもらった。「味噌玉」は昔から伝わる味噌作りの方法である。煮た大豆をわら靴で踏みつぶし、両手で包めるほどの大きさに丸め、わらや草でしばって軒先や囲炉裏のそばにつるしておく。
 農閑期に作られた味噌玉は、冬を越す間に表面にさまざまなカビを発生させる。乾燥してひび割れしてきたら、途中で玉を割ってさらにその部分にもカビを付ける。そして春になってから味噌玉を下ろし、タワシで表面のカビを取り除き、一晩水に浸けてから再び臼でついて、食塩を混ぜて樽に仕込む。熟成までは、最低でも半年から1年を要する。
 この方法で作られるのは、原材料に豆と塩だけを使った「豆味噌」と呼ばれる味噌である。日本の一部の地域で自家消費用として作られているほか、愛知県岡崎市の八丁味噌メーカーが、味噌玉作りをオートメーション化で取り入れている。
 また、味噌の原形とされる豆味噌は朝鮮半島から伝わったといわれ、現在の韓国では、「メジュ」と呼ばれるレンガ状の味噌玉が存在している。

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01-01…1995年4月1日/青森県下北郡大畑町小目名

20〜25日ほど水に浸してうるかした大豆を、2斗の大鍋(写真右)で2時間ほど煮る。煮あがった豆はそのまま食べても甘みがあっておいしい。豆が煮えたらミンチの器械(写真左)に入れてミンチ状にして、その下で待機しているおばさんたちが形を整えて味噌玉にしていく。煮あがったばかりのミンチ状の豆は火傷しそうなほど熱い。

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01-02…1995年4月1日/青森県下北郡大畑町小目名

味噌玉を作る手順は、次のとおり。以下の工程を3人1組で行なう。
1)煮た豆をミンチ状にする
2)団子状に丸める
3)樽型に形を整える
4)板を利用して底を作る
5)同じように側面を作り四角すいにする
6)板の上で味噌玉の各面を回すようにしてカスを取り去る
7)スゲを十文字にかけて上部で縛る
8)2つ1組にしてつるす

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