The Chiheisen News 2001-19


■石川直樹君の『この地球を受け継ぐ者へ』刊行
ウェブサイトに連載していたPole to Poleの日記が、本としてまとまりました。


表紙5月23日にエベレストに登頂し、7大陸最高峰登頂最年少記録を更新した石川直樹君が、出かける直前までまとめに追われていた初めての著書『この地球(ほし)を受け継ぐ者へ――人力地球縦断プロジェクト「P2P」の全記録』が、5月28日に発売になりました(奥付は6月5日になっています)。

サブタイトルからもおわかりのように、この本は、昨年4月に北磁極をスタートした「Pole to Pole 2000」という7ヵ国・8名の若者からなる国際隊が、北米・中米・南米を人力で南下し、ついに12月30日に南極点に到達するまでの旅を綴ったもので、石川君が現地からさまざまな手段を通じて自身のウェブサイトに書き込んだ日記を、ほぼそのまま収録したもののようです(「ようです」と書いているのは、じつはまだ今日買ってきたばかりで、「はじめに」と「あとがき」にちょっと目をとおしただけだから)。

石川君がウェブに連載した日記は、旅先で書かれたものとはとうてい思えない、とても質の高い文章になっていて、多くの熱心なファンを獲得しました。あの旅でなにがあったのかは、ウェブの読者は、そして2月の地平線報告会の参加者はいちおう知らされています。しかし、それをこうしてまとまったかたちでじっくり読むことができるのは、大きな楽しみとなるでしょう。

とくに興味深いのは、パソコンが使えないので手書きで記していた、北極と南極のパートです。当然、ウェブには完全なかたちではアップされていなかった部分です。12ページの巻頭カラー口絵の最後に、石川君が北極圏でつけていたノートの写真があり、びっしりと書き込まれた文字が見えます。ぼろぼろになった表紙が、厳しい旅を無言で物語っています。

口絵やあとがきも含めて全458ページと、けっこう分厚く、しかも2段組みで文字が組まれているので、そうとう読み応えがありそう。表紙には石川君の横顔に、北極の日記のなまなましい手描き文字がそのままオーバーレイで重ねられていて、なかなかカッコいい本に仕上がっています。版元は講談社で、本体価格:1700円。「straihtree logue」(straightreeの誤植?)という22本のコラムも、時系列に並ぶ日記には書かれなかった事情がうかがえて、おもしろそうです。

なお、石川君から5月28日の12時44分にメールが入りました。これからベースキャンプに向かって降りるそうです。帰国は6月3日の予定。

ウェブサイトには、登頂すぐあとでアタックの一部始終をABC(アタックベースキャンプ)で綴った日記も公開されています。肉体的にも精神的にもすべてを出し尽くした直後に、まだ標高6400mの高所に滞在しているのにあんな文章が書けるなんて(おまけにそれがたちまちウェブにアップされて読めてしまうなんて)、ほんと、信じられない気持ちです。ぜひアクセスしてみてください。[丸山純]

http://straightree.com/


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