The Chiheisen News 2001-32


パキスタン最北部――ワヒ族の谷を訪ねて。
今月の地平線通信263に掲載できなかった片山忍さんの原稿を紹介します。


片山忍さん(99年2月の第232回報告会の報告者)から、地平線通信向けに原稿が届きましたが、すでに片面を刷ったあとでレイアウトも完全にできあがってしまっていたため、今回は掲載することができませんでした。ホットな話題なので、次号回しにするよりはすぐに読んでいただきたいと思い、以下、ご紹介します。タイトルは丸山が勝手につけたものです。


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パキスタン最北部――ワヒ族の谷を訪ねて
(地平線通信番外・片山忍さん原稿)
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片山@馬旅はらくちんなり、です。 9月23日にパキスタンから帰国しました。今回は北のはずれ、アフガニスタンと中国との国境付近の山登りと4つの峠を訪れることができました。なにしろ北部パキスタン&カラコルムトレッキング初心者の片山、毎日出会う諸々事件がいちいち(個人的に)面白かったです・・・ステージ、という概念でポーター代を決めてみる、とか、その他・・・カラコルムの先達諸氏には笑われてしまうような些細な事柄でしょうが・・・

いずれ、帰国してからこんなに「勉強」する気になった場所もめずらしいです。まだまだ勉強途中でとりあえずのご報告失礼します。

チープルサン渓谷は1999年にやっと外国人入域許可がでた谷。外国人は珍しいらしく、子供もおとなも日がな一日私たちの横にやってきては「ちょこん」と座り、じいいっと見つめてます。マスツーリズムなどで観光地化されない前に訪れることができて、よかったのかなあ、と思います。

1983年にやっと通ったジープ道はアフガン戦争の際の遺物です。その先には軍用ヘリポートがあります。この渓谷の一番奥にある村ズーズホン(意味:「遠い家」)はアフガン国境まで数十キロ。馬で一日でアフガンまで行けます。「来週バダクシャン馬をアフガンに買いに行くんだ」などと平気でこの辺の人はいいます。

パスポートもビザも彼らには必要なく、国境を自由に往来して行商してきます。それもそのはず、このズーズホンに住む人たちは「ワヒ語」を話す「ワヒ族」。このごろ毎日テレビで見ることのできるアフガニスタンの地図、首がほそながーくのびた鶉みたいにみえる、そのながーい部分の「ワハン回廊」あたりからやってきた人たちなのだそうで、アフガンはいわば父祖の土地。南の方のパンジャブ人よりずっと北のアフガニスタンの方が「好き」みたいでした・・・いずれ、歌と踊りで心を慰める、とっても物静かな人たち。

食卓につくにもゲストあるいは年配の人が腰をおろさなくてはみなうろうろと座らず、座ってもまず年配の方に両手でチャパテイを差し出し、おもむろにちぎってからでなくては食事に手をださず、こちらが提供する食事も遠慮して食べず、何度も勧めてからやっと口に運んでくれる。そんな、とても奥ゆかしい人たちでした。

音楽をビデオにとってきたら、このご時世、ということもあり TBSさんで二度放映してくださいました。(地平線会議で出会った方です>感謝)ワヒの音楽家を現地でスタジオに連れて録音し、資料用にCDを作りました。ご希望の方は郵便振込みでお申し込みください。
 記号10130
 番号49508091
 (有)エベレストウエブ
 送料込み1500円
です。10月限定販売です(11月には海外に行くでしょうから)。収益金は地元の音楽を提供してくれた人々に還元します。なかなかくら〜くてちょっとリズムが難しくてカラオケでは歌えない歌です(^^)。でもこんな曲で踊っちゃうんだからすごい。(^^)

ある開発援助に携わっているスイス人の女性は私と同時期パキスタンからスイスに帰国し、また仕事のため今晩ウズベキスタンに飛びました。彼女とは夜、北部ギルギットからイスラマバードまで車をシェアして(15時間かかります)来たのでした。

彼女の言葉ですが「Life must go on, this whole thing has an impact on every single citizen in the world, in my opinion. We must try to force normality」。いつもどおり仕事をつづけるべきだ・・・と言うのですが、本当に勇気のあるひとだ!と感動しております。ウズベキスタンに長くいるスイス人です。10日間スイスでいろいろ考えたそうですが、結局行くことに決めた、というのです。すごい!今、私は飛行機に乗るのさえ怖がっているのに。世界一周を飛行機で行い、14日間毎日乗っていた私がです。ここに載ってます。

 http://www.mish-predy.com/spreport/zigzag/zigzag00.html

世の中には勇気がある人がいるものです。そういう素晴らしい人たちと偶然旅の間に邂逅するとなんとも幸せになります。さて自分は・・?とぐっと考えます。

片山忍



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