■新井 由己 ARAI Yoshimi 3

●春巻の皮の産地を訪ねて(1997年3月19日)
 1990年5月にタイをレンタバイクで走ったときに、東北部のシー・チェンマイで春巻の皮を作っているのを見かけた。すだれに張り付いた皮が道の両側に干されていたが、そのときは先を急いでいたためにそのまま通り過ぎてしまった。
 そして、今回の旅でもう一度シー・チェンマイを訪ね、春巻の皮の工場を見学させてもらうことができた。シー・チェンマイはベトナム人の移民が多いことで知られていて、ここで作られた天日干しの製品は、世界中の料理店で珍重されているものである。
 ただ、90年には街のいたるところで見られていた天日干しの光景も、97年にはほとんど見かけなくなってしまった。ラオスへの対外政策から経済発展が進み、家内制手工業的な春巻の皮作りの産業は、だんだん消えていっているようである。すだれが立てかけられていた路地も、対岸のビエンチャンを望める遊歩道の工事が進んでいた。

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写真展
地平線発

03-01…1997年3月19日/タイ:シー・チェンマイ

布を張った蒸し器が2つ並んでいて、一方でふたをして蒸している間に、一方にタネを薄く乗せている。タネになるものは、米を1時間ほどうるかし、これに水を加えながら臼でひき、最後に布でこしたものである。蒸す時間は約15秒から20秒で、右、左、と手際よく進んでいく。


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Hall


03-02…1997年3月19日/タイ:シー・チェンマイ

蒸し器のふたが取られると、丸い筒状のスポンジを持った人が、スポンジをくるっと回転させて皮状に蒸されたネタを取り、背中合わせに置かれているすだれの干し器の上に逆回しで乗せていく。ネタを乗せる人とすだれに移す人はそれぞれひとりずつで、作業場には2組の蒸し器が置かれていた。



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03-03…1997年3月19日/タイ:シー・チェンマイ

2組の蒸し器でリズムよく蒸された皮は、1枚のすだれに6枚乗せられて、作業場の横に立てかけられる。そして、熱が冷めたころを見計らって、野外の干場に並べていく。90年に見たときは建物に立てかけるような感じで干していたが、2か所で見た工場では、すべて水平に干されていた。